フィットネスクラブの「設備」から身を守ろう!
当ブログにお越しいただきまして、誠にありがとうございます。
ワタシは、このブログの管理人のフィットネス夫と申します。
危険なフィットネスの魔の手から皆さんを守るため、「フィットネス護身術」を広める活動をしています。
それでは、本日の記事をお楽しみください。
目 次
本日のテーマ
今回は「設備」をテーマとしてお送りします。
一般的にフィットネスクラブと言いますと、「ジム、プール、スパを設置」「会員数が数千人規模」という大規模複合施設 を指します。
そんな規模の大きな施設には実に多くの(気を付けるべき)設備があるのです。
フィットネスクラブの「設備」とは
フィットネスクラブ内にある「設備」とはどういうものがあるのでしょう?
ジム内にある筋トレのマシン、ランニングマシン、ダンベルやバーベルなどのフリーウエイトの器具などなど。
または、プールにあるビート板、レッスンスタジオのヨガマットやステップ台などなど。
他にも、ロッカーや通路にあるウォータークーラー(冷水が飲める機械)、タンニングマシン、さらにはエレベーターや自動ドア、トイレやお風呂、パウダールームの備品など、そのバリエーションは多岐にわたります。
こんなにたくさんのものを毎日ちゃんと点検、管理するのは大変だと思いませんか?
内側から見てきた経験から言わせていただくと、ほぼ全ての施設で点検や管理は不十分だったのです。
つまり、皆さんの周りには「常に危険が存在している」ということ。
事前に備える必要がありそうですね。
フィットネスクラブの「設備」が抱える問題点とは
フィットネスクラブの設備が抱える問題には「安全面」と「衛生面」の2種類があります。
それぞれについて、いくつか代表的なものをご紹介していきます。
「安全面」の問題点
ダンベルのゆるみ
ダンベルは、持ち手である「シャフトと重り」が「ボルトとナット」のようにネジ式に留められています。
どんなに強く留めていても使用するうちに徐々に緩んでいきます。
使い方が粗い方もいらっしゃると尚更早く緩んでいきます。
ただ、スタッフが細かくチェックしていれば大事に至ることはほぼありません(細かくチェックしていれば・・・ですが)。
以前、「重りがあと2~3回転すればシャフトから外れてしまう」という状況を目にしたことがあります。
その施設はスタッフが細かくチェックすることなく、ただジム内に立っているだけでした。
急に重さを失うことによる身体への影響は予測不可能です。
度々あることですので要注意です。
筋トレマシンのケーブルの断線
筋トレマシンは滑車とケーブルで、金属板などの重りを吊り上げる形式のものが多いです。
稀にケーブルが断線しかけている、ということもあります。
トレーニング中に断線してしまえば、ダンベルと同様に急に重さを失って身体へ衝撃を与えるかもしれません。
各器具の部品の損傷
数回見たことがあるレアケースですが、大きな問題になりかねないケースをご紹介します。
筋トレのマシンは金属の部品を骨格としています。
それらの金属は溶接でしっかりと固定されているため、トレーニング中の大きな負荷を支えることができます。
しかし、その溶接部分がヒビ割れているのを見たことがあるのです。
「やけにこのマシンはグラグラするな」
と思い各部位をチェックすると溶接部分がヒビ割れている、ということを2度ほど経験しました。
トレーニングマシンの中には、ぶら下がるものもあれば、何百キロという重さを扱うものもあります。
トレーニング中に溶接部分が折れてしまったら・・・
非常に怖いケースでした。
マシン配置
数千人の会員数を抱えるフィットネスクラブでは、会員様の導線確保は重要です。
フロア内の移動がスムーズなのは快適であるばかりではなく、安全面でも大きな意味があります。
しかし、儲け主義に走って施設のキャパシティ以上の会員様を受け入れたり、後先考えず流行りのマシンを導入する施設は導線が狭くなりがちです。
もし、数百キロもの重さでトレーニングしている人の近くを通らなければならないとしたら・・・
そして、万が一事故になってしまったら・・・
見落としがちですが、導線の重要度は意外にも高いのです。
「衛生面」の問題点
筋トレマシンのシートやベンチなどの汚れ
トレーニングを頑張れば必然的に汗をかきます。
筋トレマシンの利用の前後に汗を拭くのは当然のマナーですが、毎日何千人もの方が利用する施設では、それではとても追いつきません(中には利用後に汗を拭かない会員様もいます)。
シートカバーには革が多く使われており、中にはクッション材としてスポンジが用いられています。
次第に中に汗が染み込んでいき、スポンジの奥で菌が繁殖してしまいます。
スタッフが行っている清掃は、表面だけを軽く拭くだけで中を見るということは皆無です。
プールやお風呂の塩素濃度
プールも多くの方が利用します。
気が付きにくいですが、泳いでいる間も身体は汗をかきます。
水温が31度だとすると真夏日の気温の中で運動していることになるのです。
そんな多くの人の汗が混ざったプールの水は殺菌のために、ろ過と塩素投入によって菌の繁殖を防いでいますが、(後述しますが)プールの管理は杜撰なもの。
ろ過器の故障や塩素濃度の異常はよくあるのです。
しかし、プールフロアに掲示してある水温や塩素濃度、スタッフが記入している記録用紙には異常があってもその旨を書きません。
事実は隠されたまま、やり過ごされてしまうのです。
ウォータークーラーのノズルの汚れ
運動時は水分補給が必須です。
その際にジムや廊下に設置されているウォータークーラーで水を飲むという方も多いかと思います。
しかし、内側からフィットネスクラブを見ていると、ウォータークーラーのノズル(水が出る所)の掃除をしているのを見たことがないのです。
いくら汚れにくい構造になっているとはいえ、全く手つかずというのは心配です。
シャンプー類はつぎ足し
お風呂場やパウダールームのアメニティグッズ(シャンプー、ボディソープ、乳液など)は一見便利に思えますが、中身には気を付けなければいけません。
と言いますのも、日々の業務の中でアメニティグッズの補充をするのですが、減った分を補充するだけで、容器を洗浄しているのを見たことがないのです。
容器を洗わず中身を継ぎ足す、ということを何年も続けていくと、中で有害な菌が発生しているかもしれません。
こんなことがありました
実際にワタシが目にしたことの中で「これはヒドイ」と思ったものをご紹介します。
扇風機事件
ワタシが、とある施設の責任者をしていた時の話です。
ジムの暑さ対策
夏場は外の気温に加え、利用者の体温でジム内の温度がかなり上がります。
ワタシがいた施設は古い建物だったこともあり「何か手を打たなければ危険を招く」と思ってしまうほど室温が上昇するような状況でした(手を打たなかった前任者にも驚きですが・・・)。
元から備え付けられていた天井のクーラーだけでは追いつかないため、業務用の大きな扇風機をジム内の数か所に配置し空気の循環で対応することにしたのです。
頼もしい扇風機の到着
さっそく発注して数日後に到着。
箱を開封すると分解された状態でしたので、手が空いていた部下(若い男性社員)に組み立てを頼みました。
その後、数時間経っても何の音沙汰もなかったため、その男性社員を見つけ「扇風機の組み立ては終わった?」と聞きました。
すると「はい、終わってます」とのこと。
『終わったのなら教えてくれよw』と思いながらも『この業界だからホウレンソウができないのは仕方ないかw』と納得(この頃には既に、この業界のことを理解していましたw)。
「ありがとう」と伝え、その扇風機を見に行きました。
ジムのバックヤードにおいてある大きな扇風機を見て「さすが業務用、しっかりと風を送ってくれそうだから、暑さもかなり緩和するんじゃないか?」と、家庭用とは一味違う力強さを頼もしく感じたものでした。
扇風機に異変が!
さっそく扇風機のお手並み拝見。
「実際に動かしてみよう」と思い扇風機に触れてみると、グラグラと安定しないのです。
「大丈夫かな?」
不思議に思いながらも少し扇風機を揺らしてみると、
「ガラガラガラッ!」
なんと!
音を立てながら、バラバラと崩れ落ちていったのです!
「ジムに設置する前で、利用者の方々に危険が及ばなくて良かった」とホッと胸をなでおろしました。
調べてみると驚愕の事実が!
「不良品だったのかな?」と思いながら細部をチェックしていくと、しっかり締まっていないネジが多数。
それらのネジは組み立ての時に締めるネジでしたので、先ほどの男性社員に事情を聞いてみました。
ワタシ:「扇風機の組み立ての時、ネジはしっかり締めた?」
男性社員:「はい、締めました」
ワタシ:「ドライバーはネジ穴に合ったものを使った?」
男性社員:「近くにドライバーが無かったので、手で締めました」
ワタシ:「・・・そうか、ありがとう・・・」
呆れる実態
これが、この業界のクオリティなのです。
ドライバーが無ければ探せば良いのです。
見つけられなければ人に聞けば良いのです。
誰もドライバーの有りかが分からなければワタシに言ってくれれば良いのです。
もし、ワタシがチェックせずに設置まで任せていたら・・・
もし、営業中に動いている扇風機(しかも業務用の強力なもの)の近くにいた方に被害が及んだとしたら・・・
考えただけで背筋がゾッとします。
彼らの考え方
「ドライバーが無いから手でイイや」
「とりあえず作ったからこれでイイや(その後、報告なし)」
「あとのことは自分には関係ないや」
残念ながら、このような意識だったのでしょう。
人にけがをさせてしまうかもしれない
それによって会社が信用を失うかもしれない
回りまわって自分の給料が減るかもしれない(仕事を失うかもしれない)
この男性社員は自分がやったことが他者にどのような影響を与えるかを考えられなかったのです。
そして、自分の首を絞めることにもなりかねないことも想像できなかったのです。
彼の今後の人生のためにも「分からなかったら聞くと良い」ということ、「もしかしたら事故になるかもしれなかった」ことを伝えましたが、不思議そうな顔をして聞いていましたwww(この後、彼の周りで事故が起きてなければいいですが・・・)
信じられないかもしれませんが、 これは紛れもない事実です。
レジオネラ事件
これは、ワタシがフリーランスになった後に活動していた、ある施設でのお話です。
ある日突然、利用停止に
その施設にはプールがありました。
プールサイドにはジャグジーやサウナなどもあり、ゆったり過ごすことができるプールです。
ある日、ジャグジーの周りにロープが張られており「利用を停止している」旨の貼り紙がありました。
その施設の社員に聞くと「どうやらレジオネラ菌が発生したみたいです」とのこと。
設備の担当部門がチェックしている間、ジャグジーを閉鎖しているのだそうです。
再開したのは良いけれど
その数日後、ジャグジーを閉鎖していたロープが撤去され利用できるようになっていました。
ワタシはまた上記の社員に「再開が早かったですね、保健所は何と言ってました?」と聞くと、「さあ・・・、分かりません」とのこと。
「保健所には連絡したんですよね?」と聞くと、
またまた「さあ・・・、知りません」とのこと。
実は、多くの方が利用するプールや浴槽でレジオネラ菌が発生したら保健所に届け出ないといけないと国の指針で決められているのです。
レジオネラ菌が原因でお亡くなりになる事例もあるので非常に深刻度が高いはずなのですが、その施設の社員は「無関心」であり「他人事」なのです。
もし、この施設(企業)が保健所への連絡を怠っていたとしたら・・・
会員様の命を危険にさらす可能性のある施設。
怖いですよね。
水銀事件
これも上記の施設のプールでのお話です。
クレーム発生!
ここは会員数が少ない施設でしたので、プールのスタッフは常時1名のみという管理体制でした。
ある日、会員様からプールのスタッフに対して非常に強いクレームがあったそうです。
その方はとても温厚な方(ご高齢の男性)でしたので、「あの方がそこまで怒るなんて信じられない」というのが率直な感想でした。
クレームを受けたスタッフ(その施設の社員)に聞いてみると、
「水温計(定時検査用のもの)をジャグジー内で割ってしまって水銀がジャグジーの中に全部こぼれた」
「ジャグジーのお湯を入れ替えている時に〇〇様がいらっしゃった」
「今は入れない旨をお伝えしたけど、入れ替える前に無理矢理ジャグジーに入ってしまった」
という流れだったようです。
その場しのぎでの誤魔化し
そのスタッフは「水銀をジャグジー内に撒き散らす」という異常事態を発生させたにもかかわらず、上司含め誰にも報告せず黙って処理しようとしたのです。
しかも、そのジャグジーに人が入ることを防ぐことができなかったのです。
本来であれば、このような「会員様に危険が及ぶような事態」になったら、すぐに上司に報告してジャグジーの利用を停止し、施設全体として情報共有し、会員様にもアナウンスすべきなのです。
なぜこのようなことが日々当たり前のように繰り広げられるのか?
その理由をご紹介していきます。
このようなことが起きる理由
上記のようなことが皆さんの知らない所で繰り広げられていると考えると、非常に怖いですよね。
場合によっては命にかかわる問題です。
この業界では、なぜこのようなことが多発するのか?
それには理由があるのです。
この業界は「見つからなければイイや病」や「黙ってればバレない病」が蔓延しています。
それは、上記のような異常事態の際はもちろん、日常的にも有りふれています。
例えばプールでの「塩素濃度」の検査。
上記のレジオネラ菌の発生を防ぐためにも、規定値以上を維持できているかを毎時間チェックしなければいけないのです。
しかし、(ワタシが今まで見てきた施設では)規定値に達していないことが度々あるのです。
その際に施設の責任者に報告をすると、
「塩素を手撒きして、報告の書類には規定値内の数字を書いておいて」
という指示が・・・
せめて「規定値から外れてしまったけど、このように対応しました」というように記録を残すべきだと思いますが、そのようにきちんと記録を残している施設は(ワタシが内部から見てきた10以上の施設の中では)ありませんでした。
どこの施設もこんな事ばかりなのです。
これでは、安心してその施設を使うことなどできないですよね。
このケースに有効なフィットネス護身術とは
このケースから身を守るために有効と考えられるフィットネス護身術はコチラです。
・利用前に確認しよう
・スタッフを観察しよう
それぞれについて見ていきましょう。
利用前に確認しよう
自分で確認できるものに関しては、利用前に確認しましょう。
例えば筋トレマシンであれば、シートに座る前に「シートがしっかり固定されているか」、もしくは「汚れていないか」、トレーニングを行う前には「ケーブルが切れかけていないか」や「部品にヒビ割れなどが無いか」など。
ダンベルを使う前であれば「シャフトと重りの部分が緩んでいないか」や、「汚れていないか」など。
ウォータークーラーで水を飲む前には「水が出るノズルが汚れていないか」を。
「危険は既にあるもの」と考えておくことで、事前に身を守れる可能性は飛躍的に高まります。
スタッフを観察しよう
スタッフを観察することで、その施設の実態を垣間見ることができます。
まずはスタッフの人数
施設の広さや利用者の数に対して十分な人数のスタッフがいるのかどうか?
少なく感じるようであれば、その施設は「いざという時」に対応できない可能性が高い施設です。
人件費を減らすためなのか?
もしくは、評判が良くないからそこで働きたいという人が集まらないのか?
いずれにしろ会員様のことは二の次に考えている施設ですので、要注意です。
スタッフ同士がよく長話をしている場合
「現場レベルでの危機感」が足りていない証拠です。
ジム内で何かが起きてもすぐに対応できない管理体制であり、指導すべき上司もそれを見逃している(見ていても放置している)施設ですので、これも要注意です。
視野が狭い
フロア内をしっかり掃除しているスタッフは「しっかり仕事をしている」ように見えますが、視野を広く持っていなければ本末転倒です。
掃除に集中するあまり周りを見ていなければ、この場合もジム内で何かが起きてもすぐに対応できません。
指導すべき上司も「掃除をしっかりやっているから良い」という限定的な見方しかできておらず、「会員様の安全を守る」という最も大事な意識が欠如しています。
掃除に限らず他の行動をしている時にも、スタッフは「広い視野をもって行動しているか?」をチェックしましょう。
こういうスタッフがいる施設は安全
・スタッフ同士の雑談はしない
・フロア内をしっかり把握している(設備や利用している方などを)
・お困りの方がいる場合や危険なことがありそうな場合などに対して、いつでも駆けつける準備ができている
・会員様と会話をする際にも周りのことを気にかけている
こういうスタッフが多い施設は安全管理も徹底されており、スタッフ自身の意識も高く、利用する側から見ると非常に安全性が高い施設です。
最後に
このように、サービスなどのソフト面に限らず、フィットネスクラブの最も大きなウリであるはずの「設備(ハード面)」にも多くの危険が潜んでいます。
フィットネスクラブに一歩足を踏み入れるということは、細いロープの上で綱渡りをすることに等しいということを認識しておく必要がありそうですね。
あなたの身を一番最初に守れるのはあなたです。
このようなトレーナーや施設から被害を受けないよう、常日頃から備えましょう。